2005年04月27日

システムが貧弱なら運用ルールを見なおす

E231
兵庫県尼崎市。学生時代に阪急神戸線の園田という駅前に一人暮らしをしていたところ。そこから大学のある阪急六甲まで通学していた。その時所属していたテニスサークルが週2回の練習で尼崎市総合記念体育館のある総合記念公園内のテニスコートを利用していた。なんどか体育館にはコートの予約に出かけたことがある。一昨日の事件以来TVに写ることが多く、こんな形でなつかしい場所を見ることになろうとは心が痛い。
また実家の近所(同じ町内)の方が2名ほど今回の事故で犠牲になっていた。実家の能勢電車からはたいてい川西能勢口で阪急電車に乗りかえる人がほとんどではあるが、東西線や学研都市、はたまた尼崎に向かうには便利のよい路線ということで利用されていたのだろうか。あらためて、心からご冥福をお祈りいたします。


さて、昨日書いた運転手の心理的な問題は各マスコミでもほとんどが取り上げかなりの主要因であったかのような論調だ。またオーバーランの距離をごまかすなどの虚偽の報告もあったとのことでますます、運転手個人に目が向けられている。とはいえ、JR西日本という会社が起こした事件・事故であり、問われるべきはこの会社の体制・体質であろう。
まずはこの会社が使っていた車両について。過去の記事にJR東日本と違い、JR西日本はなかなか新しい車両に置き換えない。特に山手線は205系という車両が引退したにもかかわらずその一世代前の103系を現役で走らせているということを指摘した。これは安全上の問題というよりも単に見栄えだけの話だが、207系はステンレス車体の比較的新しい部類。ところが今回の事故で、ステンレス材料を利用することによる軽量化で、車両の強度(とくに側面からの衝撃)の低化が問題視されることになった。確かに今後製造する車両にはさらなる強化設計は必要であろうが、それが重量化、高コスト化につながり新車を導入できず旧車両をいつまでも使いつづけなければいけないという悪循環に陥るとそれはそれで問題。震度7もしくはそれ以上の地震がおきてもびくともしないような建物を建てるのにいったいくらかかるんだ?というのと同じで、ほどよい強度でというのが大前提だ。
それよりもこのような側面からマンションに激突するような「ありえない」ことを起こさせないようにすることが大切。6月末にATS(列車自動停止装置)の新型が導入され、赤信号だけでなく、速度超過の場合も列車を制御もしくは停止できるような仕組みになる予定だったそうだ。それならなぜそれまでの危険な期間があるにもかかわらずダイヤ優先の社内規則を運用するのかという問題だ。システムが出来上がっていなければ運用対処ということで現場の人が決められたしかるべきルールで対応せざるを得ない。そこにガチガチのルールでミスを許さないような規則そして罰則を入れること自体がおかしいのだ。たしかにこれまでの規模の事故の前例がないだけに「うちの会社はダイヤよりも安全重視で運転しておりますので多少の遅れはご容赦ください」等といったところで誰も相手にしてくれないだろう。特に朝の1分、2分の遅れが会社に間に合うか、間に合わないかのギリギリのラインで通勤している人もいる。そんな人たちにとっては「そんな不確定なら阪急電車の方にしよう」となっただろう。安全を重視していることを証明し、顧客満足度を向上し、今の乗客を他社に乗りかえさせないということが如何に難しいかが分かる。とはいえ、この前例ができたことにより安全輸送が一番の顧客満足として見なおされることも間違いない。輸送の原点に立ち帰り、再度社内の規則およびリスクマネジメントのシステムを見なおしてほしいと思う。そしてなにより、他社との競合で重要なドル箱路線であるならば即座に最新のシステムを導入し、人が起こすエラーをリカバリーする仕組みを導入する必要があろう。

●今日の通勤
27分 乗り換え大船着席 朝日新聞にて事故の経過を

●今日の一枚
東海道線を走るE231系、事故を起こした207系よりも軽量。今後113系の置き換えに大量導入することが予定されている。

taka7107 at 08:20│Comments(0)TrackBack(1) 世の中の出来事 

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1. 誰もが加害者、誰もが被害者…  [ 大沢3丁目 ]   2005年05月01日 20:23
人間社会に「絶対」は存在しません。全ては二項対立によって作られており、対立する二項のうち、どちらがどれだけの割合を占めているか、ということなのです。そして、その割合を相対化し、私たちは相対的に「加害者」だの「被害者」だのにカテゴライズしているだけです。絶

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